九州大学 出前講義レポート
日時
令和2年10月24日(土)
内容
一昨年、昨年につづき、九州大学工学部の出前講義をお願いすることができました。
8月に完成したばかりのラーニングスペース「J-STEP」を使っての初めての出前講義でもありました。
今年は、九州大学大学院より、沖部奈緖子先生をお招きし、「生命科学と鉱業 ~微生物と金属の親密な関係~」と題した講義を行っていただきました。
沖部先生は、工学研究院 地球資源システム工学部門 で金属や鉱物と微生物の関わりをテーマに研究をしていらっしゃいます。
※「地球資源システム工学部門」は、エネルギー・鉱物資源の開発と利用を、地球環境との共存を前提に考えることを目指しているとのこと。資源の開発と環境保全が両立できたらすごいと思いませんか?
今回は、本校の1・2年生54名が参加しました。
みんなが高校で学習している生物や化学の内容に触れながら、
・元素が地球生物化学的に「地球システム」の中を循環していること
さらに、
・地球が46億年かけて生み出した資源を、人間がごく短い期間に使い尽くそうとしていること
がだんだんと明かされていきます。
今回のテーマ「鉱物」は、あまり馴染みがないように感じるかもしれませんが、実は日常生活のあらゆるところに資源として用いられています。
今これを読んでくれているあなたの周りにあるもの、目に見える人工物のほとんどが「鉱物」を原料に作られたものです。もちろん、目の前にあるパソコンやスマートフォンも。
それだけ必要不可欠な資源である「鉱物」を、人類は地下から掘り出して使ってきました。
掘り出した鉱物は、すべてがそのまま使えるわけではありません。
質の良いものは高温で溶かす「製錬」と呼ばれる工程で取り出され、質の良くないものは「ごみ」として廃棄されることになります。
しかし、言うまでもなく資源には限りがある。
石油がそうであるように、いつまでも地下から取り出しつづけることはできないのです。
(…このあたりで、話はだいぶ専門的で高度なものになってきましたが、生徒たちは苦戦しながらも、がんばって聴き入っていました。)
そこで目をつけたのが鉱物の「ごみ」!
従来はごみとして処分されてきた鉱物から、上手く資源を取り出せれば、これからも人類が生活できる!
しかも、それが環境に優しい方法で実現できれば、地球との共存もできる!!
ここで登場するのが「微生物」なのです!
「バイオリーチング微生物(極限環境微生物)」と呼ばれる、普通の生き物は生息できない環境で生きる微生物に、鉱物を分解してもらえばいい!
…科学ってすごい…!!
なかなか難しい講義でしたが、大きなテーマと可能性に触れることができました。
参加した生徒からは、
「地球上のものは全て繋がっていて、人間がどんな活動をしようとそれが循環して、いずれは我々に返ってくるということが分かった」
「今ある資源を無駄なく、効率よく使っていくことが大事だと思った」
といった感想が聞かれました。
最後に、沖部先生からのメッセージ
「大学は知のおもちゃ箱である」
参加した生徒たちが、「知のおもちゃ」で思う存分楽しむ日がくることが楽しみです。
沖部先生、貴重な機会をありがとうございました。